日米中が作る21世紀 2011 12 4

書名 中国のジレンマ 日米のリスク
著者 市川 眞一  新潮新書

 幸運の女神に後ろ髪はない。
後になって、チャンスだと気づいても、もう遅い。
 今世紀の歴史は、日本とアメリカ、
そして中国が作るでしょう。
少なくとも、21世紀前半は、そうなるでしょう。
 欧州版の「失われた10年」か、
いや、今の調子では、「失われた20年」になるかもしれませんが、
少なくとも、今後、数十年間、欧州は歴史の舞台から消えるでしょう。
 もしかすると、歴史家は、こう書くかもしれません。
欧州は、借金の処理をめぐって、
「会議は踊る、されど進まず」だった。
 さて、書評を始めましょう。
 もしかすると、中国はバブル崩壊しにくいかもしれません。
共産党独裁政権の下で、迅速な意思決定が行われているからです。
 この本によると、
「バブルが崩壊した時に、
金融危機による急激な信用収縮を抑止する方法はある。
 銀行が不良債権を償却するのに十分な資本を速やかに獲得すること。
信用不安により、銀行自らによる資金調達が難しい場合、
政府が強制的に十分な公的資金を注入すること」と書いてあります。
 これを読んで、
「そんなことは、教科書に書いてある」と思ったかもしれません。
 しかし、「迅速に」実施できたでしょうか。
この方法は、「迅速」でないと効果がありません。
 また、こうも書いてあります。
「1990年代の金融危機に際して、
日本の政策当局の対応が後手に回ったことは、
国際社会において、大きな問題とされた。
その批判の急先鋒がアメリカだった。
 公的資金の活用を躊躇う(ためらう)日本政府に対して、
当時のクリントン政権は、
『too late, too little』(遅すぎ、かつ不十分)と、
厳しい批判を浴びせたのだった。
 しかし、そのアメリカも、
2007年後半から2008年の金融危機を乗り切る上で、
政策の発動には、非常に長い時間を要している」
 さて、天国のナポレオン、
あるいはビスマルクは、こう言うかもしれません。
「たとえ、民主主義体制下でも、
借金の処理は、すぐ終わる。
 今の政治家たちは、対応が遅れる原因を、
民主主義のせいにしているが(民主主義は手続きが多いから)、
それは、政治家が決断できないことの言い訳にすぎない」と。
 確かに、そうかもしれません。
借金の処理だからこそ、のんびりと議論していられますが、
もし、国が戦争の危機に瀕している時も、
政治家たちは、のんびりと議論を続けるつもりでしょうか。
 今の欧州の政治家たちでは、戦争には勝てないでしょう。
国民は「戦争に勝てない政治家は、もはや政治家とは呼べない」と言うでしょう。
 いや、戦争だけではありません。
21世紀の繁栄は、東南アジア、オセアニアを含めて、
東アジアにあると言っても、過言ではありません。
 幸運の女神に後ろ髪はない。
後になって、チャンスだと気づいても、もう遅い。






























































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